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2019. 09.30 ディスプレイ用半導体の性能を左右する微量な水素の振舞いが明らかに  

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の小嶋 健児 准教授(当時)、平石 雅俊 研究員、門野 良典 教授らのグループは、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の井手 啓介助教、神谷 利夫 教授、同大学 元素戦略研究センターの松石 聡 准教授、細野 秀雄 栄誉教授らのグループと共同で、ディスプレイ用として広く使われている透明半導体IGZO(イグゾー)において注目を集めている微量の不純物水素の振る舞いを明らかにしました。
本研究では、IGZO試料に水素の軽い同位体(=擬水素)としてのミュオンを注入し、ミュオン自身およびその周辺の状態をミュオンスピン回転法を用いて詳細に調べるとともに、第一原理計算による結晶IGZO中の水素のシミュレーションからの情報を組み合わせることで、ミュオンを中心とした格子欠陥の局所電子構造を解明しました。これにより、不純物としての水素がIGZOの導電性に大きな影響を与える微視的なメカニズムの一端が明らかになりました。
一般に、半導体・誘電体などの電子材料では、その電気特性が微量の不純物に大きく左右されますが、中でも水素は最も普遍的に存在するにもかかわらず、最も捉えにくい不純物の一つです。本研究は、擬水素としてのミュオンからの情報と、近年発展している第一原理計算による予想とを組み合わせることが、水素を捉えるために有効であることを示し、この手法が様々な電子材料中での水素不純物の影響を調べる研究に応用されることが期待されます。
この研究成果は米国現地時間の9月17日、学術誌Applied Physics Lettersに掲載されました。

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2019.10.18 科学新聞2面に関連記事が掲載されました